2017年2月15日水曜日

なくなったペンライト、預金通帳がでてきた。

 前日夜に、いつも枕元に置いてあるペンライトがなくなったと親父が言うので、一緒に探したのに見つからなかった。それが、結局寝る前に布団の間から出てきた。親父のベッドの掛布団はいつも二つ折りできちんと折りたたんである。親父はこういうところは実に几帳面で、昔は「神経質で」とよく周りから言われたものだった。今になるとそれは貴重なことに見えてきた。だいたい自分のことでも、身の回りの物をちゃんと整理するということがどんどん面倒になって、「ここまででいいか」という誘惑に負けることが多々出てくる。だからテレビでよく放映するゴミ屋敷も、きっとそんなことではないのかなと内心思う。

 その持ち味で親父との会話がしっかり展開しないとしても、こんなことではないのだろうかと想像することができる。それが利点とまで言わなくとも、人のなりを知る一つの根拠になりうることだ。東京からここに着いてから、すぐに本人と話をすると、K銀行の定期預金が一つ足りない「使い込みの疑念」を話しだし、ずっと聞いていると、他の預金通帳もないのだといい始めた。「他の通帳」は一緒に探したのだが、ここにあるかという範囲では出てこない。本人の質(たち)からして、なくすはずがないのにと思いながらも、やむを得ず再交付申請に行くことにした。

 HPで預金通帳の再発行方法を調べたところ、当然ながらいくつか必要なものがある。本人確認のための書類や自分とのつながりを証するものも必要だろうと、委任状も作って市役所まで出かけ、戸籍と住民票を手に入れてから銀行にでかけた。親父本人の証明は「顔がわかるもの」は一切ないので、どうかと思っていたところ保険証だけで事が済んでしまって、いささか意外だった。それに親子の証明も口頭で済んでしまったので、思ったよりも簡単に手続きができた。地方ならではのことなのかもしれない。

 通帳とキャッシュカードは早けれ4~5日で郵送されるという説明を聞いて郵便局を出た。家に戻ってから、もし前の通帳が出てきた場合でも、それは使用してはならないこと、新しい通帳の印鑑など注意されたことをメモにして、親父に渡した。一段落したところで、部屋に入ってまたごそごそしていると思ったら、出てきて「通帳とカードがあった」と小さい声で言った。

 いくらか予想したことでもあったので、「そうかー」と言って内心慌てて郵便局へ電話を入れた。当日中なら取り消しできるということで、すぐに郵便局に向かった。印鑑だけ持っていけばいいだろうと、勝手に解釈して行ったところ、出てきた通帳とキャッシュカードを持参しなければ…ということだった。戻ってすべてそろえたつもりで、また普通預金の通帳を待たずに行ってしまい、再度取って返す羽目になった。

 無くなった通帳がでてきて預金が存在することが確認できたのだから、少なくともそれは使われていないということが明確に解って、親父の「誤解」の反証になって結果はオーライだったが、弥次喜多道中みたいな一日になってしまった。しかし、それで解決になったのかどうかは先の話になる。