2014年2月25日火曜日

小国川穴あきダム建設が唯一の治水という山形県のこだわりには、根拠なしの反論

 山形大学の川辺孝幸氏が、最上小国川穴あきダム問題を解き明かした映像があった。2012.9.27にあった集会で講演されたもので、県の依頼調査結果に基づいた調査によって判明したことと、公金差し止め訴訟での論点の紹介と、「河道改修で治水対策できないとする県の主張はなりたたない。」「河床を下げる、堤防をかさ上げすることで治水が可能」という根拠について説明したものだった。

 河床を下げることで温泉の湧水に影響するという県の主張は、ブルトーザーで岩盤の割れ目に影響するような力はかからないし、過去に起きた洪水は「内水被害」(堤防の内側にたまった水が、流れが高いため逃げ場を失う)なので、川の増水によるものでないという事例について紹介している。また、平常時には貯水せず、洪水時に貯めるという「穴あきダム」は、実施例が少ないためにその効用についてのデータはないとの研究者の論文もある。

2012.9.27



山形大学の川辺孝幸氏の講演

再生は約32分かかります


国土問題研究会 中川 学[技術士(建設部門)]
…ダムによる河川環境破壊の実態が明らかになる中で、利水目的のない治水専用ダムの場合、平常時は貯水せず、洪水時のみ洪水を貯留するという「穴あき式ダム」が提案される事例が多く見られる。つまり平常時は、河床に設けられた放流口から流水をそのまま流下させ貯水しないため、従来のダムに見られる貯水池内での水質悪化など、河川環境に与える悪影響が軽微であるとされているものである。しかしこのタイプの治水対策ダムは、ダムへの批判が大きくなったことを反映して、苦し紛れのように考案されているもので、実施例はごくわずかでありその実態は明らかになっていない。しかも環境への影響を評価するためには長期間のモニタリングを要するが、筆者の知る範囲では公表された実施例はない。したがってそのようなデータの分析はなされていないと考えられるが、国交省や研究者などの間で「環境にやさしい」と大合唱されているのは、無責任きわまりないものである。…
「流水型穴あき式ダム」の安全性・環境影響を問う