2013年10月19日土曜日

後手後手の憂き世では

 大島で起きた土砂災害の場所には堰が二カ所に造られていた。片方は流れを止めて今回役に立ったが、もう片方は土砂の量が多かったために迂回して下へ流れた。火山対策のため沢に造られた砂防堰堤は、早期避難のためのハザードマップが作られていなかった。

予測してきた以上の豪雨で、それも前日夕方になってから「もっと酷くなる」との連絡が気象庁から東京都に連絡が入るという経過をみると、予知の体制が全体としてとれていなかったということだ。前日夕方はさしたる雨ではなかったというから、その時点での危機感は持ちきれなかったということもあったのだろうか。その危機感は、砂防ダムがあるから安心という認識も手伝った。これまで災害が起きて犠牲者がでて、ようやくなんらかの手を打ってきたものが、それではもう役に立たないという見方もできる。それ以上に自然環境の改変が進んでいると見なくてはならないのではないか。


 もともと崩れやすい地層に、薄々でも危険を感じながら住居を持つということ自体に問題はある。三陸の「ここから下に家を建てるな」と同様の教訓も生きるということになる。しかし、自己責任ではまかないきれない選択があるし、政策誘導も十分でない。大島町が限界集落になってしまうことをだれも望まない。危ない土地でも住める条件があれば、とりあえずはいいといった判断を全否定することは難しいかもしれない。

 対策の手を早くとらなければならない。東京都の土砂災害危険地区は島しょを含めて3700カ所もあるという。たくさんあり過ぎてということなのか、多摩から調査を始めていると実に鷹揚だ。伊豆大島にも40カ所あり、この沢も調査対象になっているとのことだが、それこそオリンピック開催の施設づくりに嬉々としている場合でない。台風27号が来秋にはやってくる。ついでながら、そのための公務員数増員はいいんじゃないの。