2013年7月3日水曜日

総括的まとめ。6月25日~28日、能登の旅の「若者」のキーワード。

 五箇山の相倉で泊まった民宿に、若者が何人か同宿した。さる旅行会社(だったと思う)の社長が新採の若者たちに、五箇山の暮らしを体験させようという企画だった。相当人数がいたらしいが、あちこちの民宿に別れて、和紙造りなどの生活体験を学んで、仕事に活かそうというものだったらしい。それはそこまでの話だが、遊びの範疇を超えた何かを若者が感じたとき、何か起きないかと淡い期待をもった。

 民宿の奥さんに、あの若者のうち何人か、ここで暮らすみたいなことにならないかなと話した。奥さんはまともに受け止めなかったが、いったいこの先どうなるかという不安は随分口に出して話した。馬鹿なことに、ここでの若者の写真を一枚も撮っていなかった。大失敗。カメラを構えて何を撮ろうというのか。いつもせっつかれて考えていることなのに。だから、シロウトの域をでないんだろう。

 狼煙(のろし)の漁港では魚の水揚げの時に、必死に網から魚を外している女の子がいた。取れない、外れないと大騒ぎしていた。漁業を営んでいる家に泊まった若者が、水揚げの体験をするということだったようだ。埼玉県の高校生だということだったが、こういった体験も、なかなかできるものではない。漁師のおばあさんが、魚を網から外す方法を、優しく教えるところなど、「いいね」感たっぷりだった。もっとその学生を撮るべきところ、やや疲れ気味の時間に至り、たくさん撮ることができなかった。これももったいないことだった。

 間垣の里の垣根作りは、金沢大学の学生がその存続維持のための研究をした。去年の12月には、伝統的に使用しているニガタケの間伐、栽培に向けた取り組みをしていると、旅から帰ってきてから知った。
 この撮影旅で、地元にはいなくなってきている若者が、顔を出しているうれしい場面に遭遇できた。若者の中に、気の遠くなるような長い間、苦労して築き上げた生活や文化が、少しでも心に止まって、残っていけばいいだろうなとつくづく思った。その夢を持たせてもらった。これは収穫だった。



五箇山


狼煙漁港


間垣の里